つぼ

せくしーらいおんなの

人にはそれぞれつぼがある。
マッサージのつぼとか笑いのつぼとか。


私の仕事は日本語を教えるというもの。
一生懸命勉強している学生に私は日本語の文型を説明したりする。
流暢に話す練習なども。
もちろん学習者なので、間違うこともある。(ネイティブでも間違えるけど)
それがたまにつぼに入ってしまうのだ。


たとえば、
「あなたは何人ですか?」
「ごはん人です。」
という意味のわからない回答や、
「尊敬語の“見ます”は何ですか?」
「ごろんになります。」など。(もちろん正しい答えは「ご覧になります」である。)

今書いてみればなんともなかったりするのだが、
聞いた時は、ごはん粒に手足の生えた“ごはん人”や
ごろん、っとかわいらしく横になる人など、自分を笑いに導いてしまう想像がとめどなく頭のなかで膨らんでしまうものなのだ。
そしてそれらはなかなか消えてはくれない。


教師側としては、一応間違いを笑うのはタブーなので、私達はそれぞれの方法で笑いをかみ殺しているのだ。懸命に。(例えば奥歯を噛みしめてみたり、舌を噛んだりして。)